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そんなに遠くから来たのですか? 「少なくとも赤道あたりの南洋から、海洋プレートの動きに合わせて、2億年以上をかけてやってきました。しかし岩手の北上山地の付加体は、どのあたりのものか推定ができていません。そこでいま、産総研の業務として、この一帯の地質図をつくりながら、付加体を調査しているのです」 かつての「超海洋パンサラッサ」の痕跡が日本列島にある 2億年前といえば、日本列島はまだなかったはずですよね。 「まだユーラシア大陸の東の端にくっついていた時代です。と言ってもその頃は、地球上に存在しているのは『パンゲア』と呼ばれるたったひとつの大陸だけでした。ユーラシアも南北アメリカもアフリカも南極も、すべてつながった『超大陸』です。その時代太平洋は今よりずっと広く、それを『パンサラッサ』と言います。ですから、この時代の付加体を調べることは、パンサラッサの深海堆積物を調べることになるのです」 ムムム・・・・・・。パンゲア大陸は聞いたことあるぞ。3億年前から2億年前にかけて存在した「超大陸」だったはず。ここから大陸分裂が起こり、いまの5大陸が生まれた。パンゲアの名づけ親は、プレート・テクトニクスを提唱したウェゲナーだ。たったひとつの大陸と、それを取り囲む「超海洋」パンサラッサ。そんな巨大スケールの時代に生きていた深海生物の名残りが、この小さな日本列島に残っているんですね。 超大陸「パンゲア」と超海洋「パンサラッサ」 figure by Adobe Stock 「遠くにある海の底の地層が、日本で発見される。それこそがプレート運動によって地層が運ばれている証拠です。最近ではテレビ番組の『ブラタモリ』でも、『チャート』という言葉をよく聞くようになりました。チャートとは、プランクトンなどの微細な生物の死骸が海底にたまってできた岩石で、それが山の中に出るということは、昔そこが深海だったということです。 パンサラッサの海は、当時の地球の6割を占めていたといわれます。では、その海の中の情報が、いまどこに残っているかというと、ほとんどの地層はプレート運動によって地球の内部に沈み込んでしまっていて、残っていません。唯一、付加体のなかに押しつぶされてゴチャゴチャになった状態で残っているものだけが、われわれが得られる情報なのです」 「コノドント」は小さいけれど「有能な化石」 すると、付加体から出てくる生物の化石は、貴重な地球史のレコーダーということになるんですね。山の中で発見される付加体の岩石から、時代はどのように推定するのでしょうか。 「時代を推定する方法はいくつかあります。一般的に有名なのは、たとえば『放射性炭素同位体比』というものですが、あれは5万年前くらいまでのものにしか使えません。数千万年、億年という単位になると、別の同位体比が使われます。ただし、同位体比で年代を数値化できる物質は限られていて、多くの場合は当時生きていた生物の化石から推定します。 三葉虫、アンモナイト、放散虫などが有名で、いわゆる示準化石(しじゅんかせき)と呼ばれるものです。ただ、これらも時代や地層によって使い分けが必要で、私が研究している2億5000万年前の大量絶滅の時代は深海の地層では『コノドント』という魚のような生物の化石を使います」 コノドントはヤツメウナギのような生物で、カンブリア紀(約5億4200万年前~約4億8830万年前)から三畳紀にかけて、極地以外の海に広く存在していたとされる。体長は10 cmほどだったようだ。三葉虫や放散虫といった他の生物の多くが絶滅した時代も生き延びて、その痕跡を残している。つまり、史上最大といわれる大量絶滅を生き延びているのだ。 「彼らが示準化石として有能なのは、生きていた時代によって形を変えていることです。そのため、化石によって年代が決定できるのです」 武藤さんはそう言って、箱に入ったいろいろな石片を取りだして見せてくれた。灰色がかった石の中に、白く5 mmほどの丸印がつけられている。その丸の中で、黒く見えている点がコノドントなのだという。しかし、そう言われてよく見ても、ただの点にしか見えない。こんなに小さいもの、山の中でよく見つけられますね? コノドントの化石と武藤さんが描いたコノドントの想像図。上の写真のスケールは0.2 mm 「慣れてくれば、20倍のルーペで見分けることができますよ。山から見つけたものを持ち帰ると、くわしく化石の種類を調べます。サメの化石には歯が多いように、生物の身体で化石として残りやすいのは、硬い骨のような部分です。コノドントの場合も、化石として残るのは口の奥にある歯のようなエレメントと呼ばれる部分だけで、われわれはそれを見ているのです」 それにしても、生物の96 %が絶滅したという大量絶滅事変を、コノドントはよく生き延びたものですね。 「96 %というのは生物種の数ですから、個体数としてはもっと残っていた可能性もあります。コノドントのなかにも、絶滅した種もあれば、生き延びた種もある。地球上でも環境の変化は場所によって差があるので、生き残ったコノドントが化石として残っているのです」 わかってきた大量絶滅の「本当の原因」 高等生物が地球に出現して5億年余り。その間に、5回の大きな絶滅期を経験したと聞きます。なにが原因なのでしょうか。 「最大の絶滅が起こったペルム紀末(約2億5000万年前)は、地球上では火山活動が盛んでした。活発なマグマの活動により、洪水玄武岩と呼ばれる大量の溶岩ができたのですが、それが出てきた場所が、運の悪いことにシベリア地域でした。シベリアの地層は、昔の植物の体が堆積してできた石炭の層など有機物が多く、溶岩によって燃やされることで大量の二酸化炭素が放出されてしまいました。そのため温暖化がひどくなり、海洋の無酸素状態や地球温暖化が進んだと思われます」 シベリア・トラップの代表的な地形が見られるシベリア北部タイミル半島のプトラナ台地。玄武岩質溶岩流が何層にも積み重なってできた photo by Adobe Stock 同じように洪水玄武岩が上昇してできた場所に、オントンジャワ海台がある。オントンジャワ海台は、太平洋ソロモン諸島の北に、約1億2000万年前に火山活動によってできたとされる巨大な海底の台地だ。このときも二酸化炭素の排出はあったものの、2億5000万年前のシベリアのようにひどくはならなかったという。 火山活動や二酸化炭素の大量排出にともなう温暖化が大量絶滅の原因と考えられるなか、ペルム紀末のものが最大の絶滅となった理由は、ほかにもあるのではないかと研究者たちは考えている。 「ここ10年くらいの研究によって明らかにされつつあるのは、絶滅後の回復期においても、それを阻害するような環境変動があったのではないかということです」 その原因は、やはり温暖化と考えられているそうだ。 「ペルム紀末の絶滅では、そのあとに温暖化のピークがあり、実はそのときは、ペルム紀末よりも地球は暑くなっていたのではないかともいわれます。赤道あたりでは海水が40℃を超えていたという話もあります。しかしむしろ、もっと寒い極地のほうが影響は大きかったのではないでしょうか。30℃が40℃になるより、5℃が15℃に上がるほうが生物にとってはこたえるはずですから」 人類も絶滅するのか 温暖化という言葉を聞くと、いきなり現代の環境問題に思いをはせてしまう。すると、いまの温暖化も、かつて生物が大量絶滅に至ったのと同じ道なのだろうか。 「いま語られている温暖化とは、100年という短い単位で起きていることです。数百万年、数千万年という単位で考える地球史上の大絶滅と直結させて考えるのは、短絡的すぎるかもしれません。いまの温暖化が1000年後、1万年後まで続いているなら、第6の大量絶滅につながるのかもしれません」 たしかに、人類の経済活動で上昇したこの100年ほどの気温の話と、5億年におよぶ生命の歴史を並列では語れないのは、よくわかる。5億年の間に地球上の大陸は、分離していたものが集まってパンゲア大陸を形成したあと、また分離している。「気が遠くなる」という言葉もなまやさしいほどの、さらに遠い時間が積み重なってできている。 地球史と人類の経済活動を並列に語れないのはもちろんだが、いまの温暖化が1000年後、1万年後まで続いているなら、第6の大量絶滅につながるかもしれない photo by Adobe Stock 生物にとって「絶滅」とはなにか 武藤さんは生物にとっての「絶滅」ということの意味について、こんな面白い話もしてくれた。 「いずれの絶滅のときも、生物はそれでも回復しているのです。回復があったから、いまわれわれはここにいる。見方を変えれば、大量絶滅によって生物種が大幅に減っただけではなく、生態系がガラリと変わったということです。生態系を担う役者たちが入れ替わったのです。わかりやすい例が、6550万年前の隕石衝突を起因とした環境変化による、恐竜の絶滅です。その代わりに、人間の祖先を含む哺乳類が舞台の中心に出てきたのです」 大量絶滅のたびに、生物の種の数は元通りに増えてきた。進化したともいえる。いま、その頂点に立っているのは人間かもしれないが、いずれは次の大量絶滅の時代を経験することになるのだろう。コノドントが2億年以上も生き延びたように、人類も生き延びることはできるのだろうか。いまや地質学者も、環境変動が生物にどのように影響を与えるのか、といった問題に直面する時代になってきたのだろう。 付加体の山の中を歩き、小さな小さなコノドントの化石を探しながら、武藤さんはいま、数千万年、数億年をさかのぼる旅をしている。岩手の地質図をつくることで、地球の生物たちが生きてきた時間と向き合っている。 調査中の武藤さん 「もしかしたらこの100年の変化は、地球史からみたら些細なことなのかもしれません。でも、これまで起きたような大量絶滅を避けることができるのかどうかは、わかりません。まずは、過去にどのようなことが起きたのか。それを調べていくことに意味があると思います。絶滅期だけではなく、平常の状態を研究しないとわからないこともある。地球上に残る生命の記録をなるべく多く理解することに、意味があると思っています」 地質調査総合センター 地質情報研究部門 層序構造地質研究グループ 研究員 武藤 俊Muto Shun 専門はコノドント化石を用いたジュラ紀付加体に含まれる遠洋堆積岩の層序復元です。特に、遠洋域深海堆積岩の層序と、それに記録された古環境の情報に注目し、史上最大の大量絶滅が起きた約2億5,200万年前の環境変動などについて研究してきました。 地質調査総合センターでは主に東北地方北部のジュラ紀付加体の分布域で地質図作成に携わっています。そこから得られる深海堆積岩の記録と付加体の詳細な形成過程の情報を基に、約3億から約2億年前という大昔の海の姿を明らかにしていきたいと思っています。 関連記事 第19回 5億年前から生きている「不思議な生物」が教えてくれること 謎の生物「放散虫」が起こした革命 第13回 恐竜化石はなぜ鳥羽で見つかったのか 地質から日本列島の成り立ちがわかる この記事へのリアクション もっと詳しく   初めて知った   興味がある   この記事をシェア 掲載記事・産総研との連携・紹介技術・研究成果などにご興味をお持ちの方へ 産総研マガジンでご紹介している事例や成果、トピックスは、産総研で行われている研究や連携成果の一部です。 掲載記事に関するお問い合わせのほか、産総研の研究内容・技術サポート・連携・コラボレーションなどに興味をお持ちの方は、 お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。 産総研マガジンに関するお問い合わせはこちら 編集部が選んだおすすめ記事 話題の〇〇を解説 量子コンピュータとは? 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