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人工股関節は、大腿骨(だいたいこつ)に挿入するステム、骨盤外側の寛骨臼(かんこつきゅう)という凹んだ部分に設置するカップ、そして、その間に入るヘッドとライナー(軟骨の代わりとなる部分)で構成されるものが現在主流です。髙橋さんらはこのうちステムの部分を新たに開発しました。 人工股関節は、主に1)カップ、2)ライナー、3)ヘッド、4)ステムの4つで構成されている(提供:帝人ナカシマメディカル株式会社) 股関節の形状と人工股関節VLIANステムを設置したイメージ図(作成:広報課 長尾美歩) 日本人の骨格にあったステムをつくりたい ―なぜ、人工股関節ステムの開発に取り組もうと思ったのでしょうか 髙橋 現在、国内で使用されている人工股関節は8割以上が海外製品なんです。例えば、僕らが参考にさせてもらったのはイギリスで作られている製品なのですが、イギリス人と日本人では体格が全然違いますよね。日本人は欧米の人に比べて小柄ですし、骨の形状も違っていて、ステムを挿入する際の隙間が狭いんです。なので、欧米の人用に作られたステムを挿入するために余分に骨を削ったり、中殿筋を剥離しなければならない症例がありました。より細くて、挿入しやすい形状のステムが必要だったんです。 北海道大学病院 整形外科 髙橋大介 講師 藤原 当社は国内で使用される人工関節の8割以上は海外製品であるという現状を踏まえて、日本企業として、より日本人の骨形態に合った人工股関節を作り、患者様に長く元気に生活していただきたいという想いがありました。 髙橋 当初はイギリス製のセメントステムを使用していたのですが、日本人には使いにくいと感じることが度々ありました。その頃、帝人ナカシマメディカルさんが「人工股関節をつくりませんか」と声をかけてくれたんです。 ―帝人ナカシマメディカル様はなぜ、連携先として北海道大学を選んだのでしょうか 藤原 北海道大学様とは以前から人工手関節の開発や、人工関節摺動部材であるポリエチレンの共同研究を実施させていただいていました。また当社として新たなセメントステムを開発するにあたり、髙橋先生がセメントステムに大変造詣が深く、精力的にご活動されていることと、海外で開発された製品の改良点を明確にイメージされていたことから、髙橋先生にご指導頂きたいと思い、ご相談させていただきました。 開発を担当した帝人ナカシマメディカル 開発部 藤原路浩 課長代理 ―ステムを固定する方法には、骨セメントを用いて固定する方法(セメント固定)と、骨セメントを使用せずに表面構造をザラザラにして直接固定する方法(セメントレス固定)があるそうですが、髙橋先生はなぜセメント固定のステムを使用しているのでしょうか。 髙橋 セメント固定ステムの利点としては、設置時に打ち込まないので骨折などのリスクが少ないんです。また各国のレジストリー(人工関節登録制度)でもセメントステムの方が良好な長期成績であることが示されています。しかし、国内ではセメントステムは少数派で、セメントレスステムの使用が約85%を占めている状況です。多くの先生方が、セメントステムの術後成績が良いと理解しているのですが、一度もその手術を見たことが無いので出来ないという方も多いと思います。ですから、私たちが開発するセメントステムは、初めての人にも手術しやすいものにする必要があると思いました。 ―具体的にはどのように製品開発をしていったのでしょうか 髙橋 まずは日本人の骨格に合う人工股関節の形状やオフセット(骨頭の中心から大腿骨の中心までの距離)のサイズを検討するために、計測するところからはじめました。今まで僕らが治療してきた患者さんのCTデータを共同研究という形で、帝人ナカシマメディカルさんに提供しました。 藤原 骨形態の計測作業はかなり大変でした。計測までのプロセスが多いですし、臨床的な指標も参照するため、時間を要してしまいました。でもその結果、オフセットサイズのバリエーションを裏付ける有効なデータを得ることができました。また先生のお陰で論文化もされましたし、努力してよかったと思っています。 髙橋 最初の症例は、2018年4月でしたね。それから半年間くらい僕がトライアルで使ってみて、不便なところを繰り返し改良してもらいました。実際に製品として販売されたのは、11月27日です。なぜ覚えているかというと、実は偶然なのですが、僕の誕生日なんです(笑)。トライアル期間にも色々ありましたね。 藤原 はい。ステムだけではなく手術器械の改良を継続的に行い、より良い製品にアップデートすることを追究しました。 コンセプトは患者さんにも術者にもやさしいステム ―VLIANステムの特徴についてお聞かせください 髙橋 他社に比べてかなりのサイズバリエーションがありますよね。そのお陰で、ここ数年は一度もVLIAN以外を選択したことはないですね。 VLIANステムと手術器械 藤原 日本人の骨形態に適したサイズバリエーションを充実させました。それから、ステムの挿入性を向上させ、骨や筋肉の温存を図るための形状にもこだわりました。設置角度を確認できる角度計など手術器械にも様々な工夫を凝らしています。 髙橋 看護師さんが術者の医師に手渡す時に直感的に分かりやすいようにサイズによって色分けしているのも特徴だと思います。 ―実際の手術に使用してみていかがでしたでしょうか。 髙橋 ステムの挿入性が向上して、大腿骨の大転子を削ったり、中殿筋を剥離する処置が圧倒的に少なくなり、術後そのあたりを痛がる患者さんも本当に減ったなという印象があります。また先日、最近の手術時間を見直してみたら平均43分だったんですね。これまでよりかなり短くなったと思います。術者だけではなく、助手と看護師さんの動きがスムーズになると手術時間がすごく短くなるんですよね。 北海道大学と帝人ナカシマメディカル株式会社とで共同開発したVLIAN(ブライアン)ステム(左)と設置後のレントゲン写真(右)。日本人に最適なオフセットサイズで大腿骨大転子の骨切除を最小限にして挿入可能な形状になっている ―製品開発に至るまでで苦労された点はどんなところでしょうか 藤原 実はこの製品は、我々としても本当に初めてチャレンジすることが多かったんです。これまでは、開発先の病院様だけで使っていただくような製品開発を行っていましたが、このVLIANからは、我々が作った人工股関節を全国的に使っていただけるような開発を心掛けました。その中で、色分けするところも初めてでしたし、手術器械に関しても、本当に最後までこだわりました。髙橋先生からいろいろなご意見、アドバイスをいただいたときは難しいと感じることもあったのですが、それを実行すればより使いやすいものができると信じて、チャレンジを続けてきました。 髙橋 求めているものを作ってもらえる環境ってなかなか無いと思うので、信じて作ってくれた帝人ナカシマメディカルさんには本当に感謝しています。 VLIAN専用の角度計。ステム挿入前に大腿骨内部に空間をつくるラスプとステムの挿入角度を容易に合わせることができる。経験の浅い医師でも、手術しやすいよう随所で工夫されている ―北海道大学の産学連携については、どのような印象をお持ちでしょうか 髙橋 産学連携に関しては全くの素人ですから、研究開発する上で本間 篤 先生をはじめ、産学・地域協働推進機構の方々は、僕にとって大変ありがたい存在です。1人では契約なども含めて企業との共同開発に取り組むことはできないので、しっかりした産学連携のサポート体制があることは、北海道大学にいる大きな利点だと思っています。 産学・地域協働推進機構 本間 篤 特任教授 藤原 北海道大学様は企業との研究開発に積極的に取り組んでくださり、産学連携のサポートが充実している印象を持っております。また、髙橋先生にはこれまで数多くのお打合せの時間を頂戴しました。髙橋先生自身、ものづくりが非常にお好きと伺ってまして、開発時にはエンジニアのようにご意見をいただき、大変感謝しています。ここまで親身になってアドバイスをしてくださる先生は多くはいません。当社のような医療機器メーカーにとっては、臨床的側面から評価いただける医師との連携が必要不可欠ですので、引き続きご指導を頂きたいと思っています。 これからも革新的な「ものづくり」を ―今後の製品開発についてお聞かせください。 藤原 現在は、ひきつづき、共同研究という体制のもとで、新たにVLIANステムのバリエーション追加を検討しています。これにより一貫した手技でより幅広い症例に対して、VLIANステムを使用していただけると思っています。 ―この研究に限らず、今後の展望についてお聞かせください。 藤原 基礎研究、設計開発から製造、販売まで一貫した体制を持つ国産メーカーとして、研究機関との連携により技術を社会実装するネットワークとノウハウがあることは当社の強みです。これからも北海道大学様と革新的なものづくりを一緒に取り組ませていただき、新たな課題に挑戦していきたいと考えています。 髙橋 基本的に人間の想像できることはほぼ実現できると思っているんですよ。シャワー浴びているときとか、ふとひらめくときがあって。「あっ、あれ、これでいいじゃん」って思ったりするときがあるんですね。そういう発想を、これからも何かものづくりにつなげられたらと思っています。日々、いまの現状に満足しないで、少しでも新しいことを生み出せるよう、臨床研究にいそしんでいきます。 インタビュー取材の様子 髙橋さんは、AIを活用した乳児の股関節脱臼診断システムの開発などにも取り組んでいます。これからも、臨床現場の課題やアイディアを形にすることで、革新的な「ものづくり」を実現し続けてくれることでしょう。 【聞き手・文: 広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門 川本真奈美、 写真・イラスト:広報課 広報・渉外担当 長尾美歩】 2024年01月31日掲載 この記事をシェアする X Facebook 関連記事 2024年2月20日 よりおいしそうで、より安心な食肉製品を作る 農学研究院 准教授 若松純一 研究探訪/農学/食 2023年12月26日 【動画公開】総長が行く「知の探訪」Vol.1「恐竜研究5つの価値」 総長 寳金清博、総合博物館 教授 小林快次 Video/恐竜/研究探訪/総合博物館 2023年10月06日 生命科学とナノテクノロジーを融合する北大とNIMSの連携 生命科学院 客員准教授/物質・材料研究機構 主幹研究員 山崎 智彦 インターンシップ/研究探訪/顕微鏡 関連キーワード 医学研究探訪 前の記事へ 記事一覧へ 次の記事へ 記事一覧へ 気候変動に挑む 研究プレスリリース いいね!Hokudai 研究者総覧システム HUSCAP 知のフロンティア 受賞(研究成果) 研究シーズ集 研究者のためのスキルアップセミナー 北海道大学 × SDGs 創成研究機構 産学・地域協働推進機構 〒060-0808 北海道札幌市北区北8条西5丁目 Tel:011-716-2111(代表) 北海道大学公式SNS サイトポリシー 北海道大学 © HOKKAIDO UNIVERSITY

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