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演出補佐:ニシサトシ照明:三浦あさ子音響:右田聡一郎、西川文章衣裳:岩崎晶子舞台監督:夏目雅也制作:柴田聡子コンセプター:粟津一郎イメージ写真:久富健太郎プロデューサー:山本麦子(愛知県芸術劇場) チケット料金 全席自由一般 3,000円 U25 1,000円 リピーター割1,000円(当日のみ販売) ※ 未就学児入場不可※ U25は公演日に25歳以下対象(要証明書) ※ リピーター割は本公演を別日に鑑賞済みの方が対象(要半券提示)※ 車椅子席はチケット購入後、下記 劇場事務局にご連絡ください。※ やむを得ない事情により内容・出演者等が変更になる場合があります。 ※ 開演後はしばらくの間入場できない場合があります。 チケット取扱 チケット発売 2022年10月7日(金)10:00〜 愛知県芸術劇場オンラインチケットサービス チケット購入 愛知県芸術劇場メンバーズへの登録が必要です。詳細はこちら 愛知芸術文化センタープレイガイド(地下2階) TEL 052-972-0430 平日10:00-19:00 土日祝休10:00-18:00 (月曜定休/祝休日の場合、翌平日) チケットぴあ [Pコード:153-761] http://pia.jp/ TEL 0570-02-9999 ※購入方法によりチケット代金のほかに手数料が必要になる場合があります。 --> 託児サービス(要予約) 【5日公演のみ】対象:満1歳以上の未就学児料金:1名につき1,000円(税込)申込締切:10月29日(土) お申込み・問合せ:オフィス・パレット株式会社 TEL 0120-353-528(携帯からは052-562-5005) 月~金 9:00~17:00、土 9:00~12:00(日・祝日は休業) 観劇・鑑賞サポート 【6日公演のみ】ポータブル日本語字幕※ご希望の方は 劇場事務局 までご連絡ください。 企画制作・主催 愛知県芸術劇場 助 成 文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)| 独立行政法人日本芸術文化振興会 制作協力 NPO法人 DANCE BOX 協力 京都芸術センター制作支援事業 平野暁人、萩原雄太、谷竜一トムス・エンタテインメント「あしたのジョー」©高森朝雄・ちばてつや/TMS 協 賛 p-a-c目黒  お問合せ 愛知県芸術劇場  TEL: 052-211-7552(10:00~18:00) FAX: 052-971-5541 Email: contact△aaf.or.jp(「△」を「@」に置き変えてください。) プロフィール 余越 保子 Yasuko Yokoshi (c)Miana June 振付・演出家 京都在住。1996年より、ニューヨークをベースに作品を発表し、2作品が、ベッシーアワード・最優秀作品賞を受賞。他にジョン・サイモン・グッゲンハイム・メモリアル・フェロー、ニューヨーク市芸術家助成フェロー、Foundation for Contemporary Arts Award、Creative Capital等受賞多数。2015年に拠点を京都に移す。黒沢美香、首くくり橡象、川村浪子主演映画『Hangman Takuzo』を自主制作し、小山登美夫ギャラリー、シアターイメージフォーラム(Dance New Air主催)、神戸映画資料館、Nooderzone Performing Arts Festival (オランダ)などで上演。女性芸能者の元祖といわれる山姥を題材にした「shuffleyamamba」を豊岡市にある芝居小屋永楽館(城崎国際アートセンター主催公演)にて2019年10月に初演、本作品の続作『shuffleyamamba: 山姥は熊を夢見る』を2021年12月に横浜ダンスコレクションにて発表した。 垣尾 優 Masaru Kakio ダンサー・振付家。モダンダンスや大野一雄の舞踏などに強く影響を受けながら、音楽や哲学、映画やストリートカルチャーなどの現代の様々な分野の表現にも影響を受け、独自に解釈し身体化した動きに定評がある。山下残振付作品『透明人間』、岡登志子主宰Ensemble Sonne作品、松本雄吉+ジュン·グエン=ハツシバ + 垣尾優共同制作『sea water』、砂連尾理振付作品『猿とモルターレ』、JCDN国際ダンス・イン・レジデンス・エクスチェンジ・プロジェクト 日本/フィンランド共同制作 エルビィ・シレン 及び 日本/米国共同制作ノーラ・チッポムラ日本滞在制作公演、等に出演。2006年から2009年までcontact Gonzoとして活動。FIDCDMX (メキシコ) ソロダンスコンペティションに選出 (2018) 。Dance Boxにて垣尾優ソロダンス『愛のゆくえ』 (2019) 、京都国際舞台芸術祭 2021 SPRINGにて『それから』を発表。京都精華大学非常勤講師 (2022 後期 表現研究II) 。 Alain Sinandja (c)Pepe ダンサー・振付師。神戸市新長田区在住。トーゴ出身。神戸ダンスボックス主催国内ダンス留学で学ぶため2017年、初めて日本に来日。卒業後も日本に残り神戸を拠点に、西アフリカの伝統舞踊とコンテンポラリーダンスを越境しながら独自の作品を制作している。2018年に自身で立ち上げたダンスフェスティバル「AFRICAN CONTEMPORARY NIGHT」はのちのHappy African Festival(HAF)へと発展し、多くの観客を動員した。2019年に、振付家・下村唯との共同制作を行い、同作品は、横浜ダンスコレクションにて振付賞を受賞。同年、山崎広太によるプロジェクト「Darkness Part 3」に参加、ニューヨーク公演に出演した。現在もダンスボックスの様々な企画に参加し、アフリカンダンスクラスを教えるなど、新長田のコミュニティに深く根ざした活動を継続している。 小松 菜々子 Nanako Komatsu 自分自身を宇宙の地学的混合物の表出の一つととらえ、自分の身体と天体的構造の交換可能性をパフォーマンスする。心が動かされることや思考が振付られることをダンスと捉え身体感覚の拡張をモチーフに作品を制作。ダンサー/振付家。2022年度DANCE BOXアソシエイト・アーティスト、2023年に単独公演予定。今までに山田うん、垣尾優、青木尚哉、梅田宏明、森山未來の作品にダンサーとして参加。自身の振付作品に『モザイク』/dancebox (Kobe,2022)『Border』/Aoyama Spiral Holl (Tokyo,2019) など。 関連イベント 京都芸術センター 明倫ワークショップ「上演とは何か?『リンチ(戯曲)』上演のためのクリエーションを振り返る」 演出の余越保子が、演出補佐を務めたニシサトシ、プロデューサーの山本麦子も交えながらリサーチ、クリエーション過程を振り返り、戯曲と上演の関係について参加者とともに話し合います。(オンライン開催) 開催日時 2022年12月4日(日)19:00~21:00 料金 無料 定員 20名 申込方法 京都芸術センターのウェブサイトよりお申し込みください。 https://www.kac.or.jp/events/32893/ ※申し込みいただいた方にZoomリンクを送付いたします。 主催・お問合せ 京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会) Tel:075-213-1000(10:00-20:00)Mail:studio△kac.or.jp(制作室担当)(「△」を「@」に置き変えてください。) 高校生 ゲネプロ招待 普段、舞台芸術に触れる機会の少ない若い世代の方に舞台に親しんでいただくため、ゲネプロ(本番同様の最終リハーサル)にご招待いたします。 公演日時 2022年11月3日(木・祝)18:00開始予定 ※ 上演時間:約90分 会 場 愛知県芸術劇場 小ホール 定 員 先着50名程度(引率の先生を含む) 申込方法 【件名】高校生 ゲネプロ招待【本文】①参加者氏名、②代表者、③ご連絡先(電話番号等)  をご記入のうえ、メールまたはFAXのいずれかにて、お申し込みください。【宛先】  メール:[email protected]  FAX:052-971-5541 第20回AAF戯曲賞受賞記念公演『リンチ(戯曲)』試演会 11月の本公演に先駆けて、ArtTheater dB KOBEにて試演会を開催します。   日時 2022年7月17日(日)15:00~17:00 ※ 受付開始・開場は、開演の15分前を予定しています。※ ショーイングの後、ご来場のみなさまのフィードバックやご質問をお受けします。 会場 ArtTheater dB KOBE(神戸市長田区久保町6丁目1番 アスタくにづか4番館4階) 参加費 無料(要申込) お申込み・お問合せ 下記の申込フォーム、もしくはお電話にてDANCE BOXまでお申し込みください。 Google form:https://forms.gle/Pk139Rw88SaLFoQU6電話:078-646-7044 主 催 NPO法人 DANCE BOX、愛知県芸術劇場 助 成 文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)| 独立行政法人日本芸術文化振興会 協 賛 p-a-c目黒  ニュース 2023.3.24 公演レビュー 「戯曲を上演する」とはなにか?「リンチ(戯曲)」受賞記念公演を通して 萩原雄太 (C)Kai Maetani 羽鳥ヨダ嘉郎による『リンチ(戯曲)』を初めて読んだ多くの人は、きっと戸惑っただろう。その1行目となるト書きから「あなたに見られている必要はない。耳の上が平面に付く」という不明瞭な言葉が置かれ、その後に続くのは、次のような台詞だ。 素人 脱ぐには? というのも、力を入れたことがないんです、私は。でも入れられますか? お袋 鳥肌が立っていたらどんなにいいだろう。毛に運ばれることができるのだから。襟首を掴んでほしい。人が寝ているのを見たことがないし、私とは似ていないだろう。 胃に刺さっているチューブを見る人は痛い。素人 痛がられている。 かろうじて、「素人」と「お袋」という役名を付けられた人がこの言葉を発話している、ということはわかる。しかし、それが意味するところはほとんどわからない。「でも入れられますか?」とは「でも力を入れられますか?」という意味? じゃあ、なぜその直後に「お袋」は鳥肌の話をするのか? 「痛がられている」とは? そもそも「お袋」とは「素人」の母なのか? では、素人はなぜ「息子」ではないのか? 役名について言えば、この後、この2人のほかに「和船」「グヮン」「関所」「ジョム」「野次」といった役名が書かれ、台詞が割り振られているが、それが本当に登場「人物」なのかすらよくわからない。 いったい何が書かれているのか、まったく確信が持てないのだ。 もちろん、諦めずに何回も読んでいくと、描かれている情景が介護のような像を結んだり、戦前・戦中の記憶を語っているように読める部分もある。けれども「ように読める」という以上に断言することはできない(ときに「嘔吐バックス」というダジャレのような言葉も交じるから、なおさらよくわからなくなる……)。 と、非常に特殊な論理によって編まれた「リンチ(戯曲)」は、近年発表された中でも、指折りの問題作といっていいだろう。「戯曲とはなにか?」というテーマを掲げるAAF戯曲賞の受賞にぴったりの作品だ。 だが、このレビューは、この戯曲がどのようなものであるかについては取り扱わない(取り扱えない)。その代わり、22年11月に上演された余越保子の演出による受賞記念公演と、「リンチ(戯曲)」との差分を検討しながら、演出を担った余越がこの戯曲に何を読んだのか、そしてなにを読まなかったのかについて考えていきたい。それはきっと、「戯曲の上演とはなにか?」が浮かび上がらせるだろう。 (C)Kai Maetani (C)Kai Maetani (C)Kai Maetani 上演当日。愛知県芸術劇場小ホールに入ると、目に飛び込んでくるのは白いリノリウムの床。開演前、余越保子、垣尾優、小松菜々子、アラン・シナンジャという4人の出演者たちは、これからの上演で使うであろう小道具たちをひとつひとつ舞台上に運び出し、ハンガーラックに配置する。この作業が終わり、開演時間になると、舞台スタッフが前に出てきて、舞台機構を使って、舞台を床面よりも30センチほど下げるところから上演が始まる。掘り下げられた舞台は、あたかも実験場のような、闘技場のような雰囲気。 そうして、舞台の縁に座った出演者たちの中から、まず小松菜々子が立ち上がる。ゴム手袋をした小松は、両手を上にして、何かが垂れるようなジェスチャーを繰り返していく。そんなムーブメントとともに小松が機械音声のような声で語るのが以下の言葉だ。 「極めて普遍的な論理でさえ、境界を設けて、ある種の苦しみを無視せざるを得ないのではないか? 食糧用に屠殺される、動物についてはどうか? 養豚場を訪ね、なかば目をふさがれ、普通にあることも許されぬまま、太らされて、殺されるだけの豚をみたあと、それでもなお、豚肉を食べられる人はいるだろうか? いるだろう」 人が持つ倫理の不合理さを記述するこの印象的な言葉は、戯曲に使われている言葉ではなく、羽鳥嘉郎が『使えるプログラム記録集2014』において引用している哲学者・スラヴォイ・ジジェクの著書『暴力───6つの斜めからの省察』から引用された言葉(注:ただし、発話しやすいように一部の言葉が書き換えられている。また、『リンチ(戯曲)』の著者は「羽鳥嘉郎」ではなく「羽鳥ヨダ嘉郎」であることにも注意したい)。90年代に活動していた大友良英率いるバンドGround Zeroの『Consumed Red』を背景にして生み出されるこの動きと言葉が、今回の舞台の基底音をつくっていく。続くシーンでは、西アフリカ・トーゴ共和国出身のアランが、母の記憶を語った録音音声が流れる中で、胴体を小刻みに揺さぶっていくムーブメントを見せていく。体力の限界に挑むように動かされるアランの分厚い体躯、おそらくフランス語であろうと思われる私を含めた多くの観客には意味がわからない言葉の響き。それを浴びていると、アランの身体の内側に埋まっているとてつもない力へと意識が向けられる。かなりの時間その状態が続いた後、ようやく「あなたに見られている必要はない。耳の上が平面につく」と、戯曲の言葉が現れてきた。 余越の上演において、「リンチ(戯曲)」から使われている言葉は、おそらく戯曲全体の1/3程度だろう。印象としてはもっと少なく感じる。その代わり余越が使うのは、出演者らの個人史(と思われるもの)の語りだった。 たとえば、広島出身の余越が、甲状腺障害となって放射線治療を受けた記憶。彼女は、その治療のために放射線を放出するカプセルを飲み込むアイソトープ治療を受けた。また、母親が瀬戸内海の島・大久野島に学徒動員され、毒ガスの製造に従事していたことから毒ガス手帳を持っていた記憶も使われている。また、トーゴ出身のアランは、日本に来たときに「アフリカ人なのに服着てる」と言われたこと、電車の隣に日本人は誰も座らないという差別的な待遇を受けた記憶、自分の子どもには植民者の言語であるフランス語ではなく、自らの民族的な言語であるモバ語を教えたいという話をこの舞台に対して提供する(ただし、これらの言葉は余越・アラン自身だけでなく垣尾や小松によっても発話される)。 そのような個人史が主旋律となり、戯曲の言葉はそれを下支えする位置に置かれた。おそらく、そのまま発話しても意味がわからなそうなこの戯曲を上演として立ち上げるにあたって、余越は、戯曲の言葉を背景にすることで、暗喩的に組み上げられた戯曲の「内実」が伝わるように仕組んでいるのだろう。 戯曲の参考文献リストに「南進日本の生命線・南洋を探る───サイパン島気候記」「セイネンダンのユーショーキ───日本統治下パラオにおける現地人若年層『動員』の記憶」「燐が燃えたまちヒロシマ───被爆60周年」といったタイトルが散見されるように、この戯曲には「太平洋戦争」「植民地」「外国人」といったキーワードが内包されている。広島、第二次大戦、植民地といった出演者の個人史を前景化することで、この上演からは、その身体が無意識に背負っている/背負わされている近代史が浮かんでくる(上演の中には、垣尾と小松による近代史のレクチャーシーンもある)。 「近代」と「私」。この戯曲から余越が取り出した軸は、このようなものだった。「私」の存在を明らかにするため、彼らは「私」の身体を使って踊ることが必要だったし、「私」について語ることが必要だった。余越自身、この戯曲を上演するにあたり「何かをフックにして橋渡しできないかと考え」「“日本人とは何なのか”をヒントにしてみようと思った」とインタビューに答えている(ステージナタリー https://natalie.mu/stage/pp/aaf08)が、ここで、余越の言う「日本人」はトーゴ出身のアランを含めた「私」を通じて表出されていく。そのため、掴みどころのない「リンチ(戯曲)」の言葉を使いながらも、上演は、予想以上に「わかりやすい」ものとなっていく。 戯曲の中でも印象的な記述がなされている小豆島の安田踊りは、4人の出演者によって踊られる。初めは、おそらく小豆島で録音された音頭で始まった踊りは、だんだんとジャズ・ミュージシャンであるアリス・コルトレーンの「Stopover Bombay」へと変わり、踊りのニュアンスも変化していく。背景と床面に投影される映像には、大久野島、広島のローカル線、空爆、あしたのジョーやウルトラマンが映し出されたり、禁止マークの裏に隠された昭和天皇も使われた。小松が客席最前列にドロっと垂らすスライムは、大久野島で作られた毒ガスのメタファーだろうか? 上演の終盤、激しい盛り上がりの中、アランが早口の外国語でまくしたてた後、しばしの静寂が訪れる。そこで、小松が自ら垂らしたスライムに触れると、垣尾が戯曲の最後の言葉「食べ物に両手を埋めて、それからはじめる」と拡声器越しにつぶやく。そうして、舞台スタッフが現れ、掘り下げられた舞台面を元の高さに戻すと、上演が終わる。 (C)Kai Maetani (C)Kai Maetani (C)Kai Maetani これまで、「リンチ(戯曲)」の上演で、舞台上に現れたものを記述した。 では、その一方、「リンチ(戯曲)」の中から、余越は何を切り落としたのだろうか? 上演にあたっては、いくつものトピックを切り落とされている(もちろん、それはあくまでも一般的な「演出」の範囲である)が、筆者が注目したのが「リンチ(戯曲)」の奇妙な文体が生み出す質感が除外されていたことだった。 「戯曲に描かれている歴史や身体の感覚が、誰の目線で語られているのかわからないところが一番難しかったですね。羽鳥ヨダ嘉郎さんの目線を必死に探そうとするんですけど、つかめない構造になっている。つかめたと思った矢先にこぼれていってしまうから、このままだとひたすら踊っているだけになってしまうと感じて」(同上) こう余越自身が話すように、「リンチ(戯曲)」の文体は徹底的に「誰の目線で語られているのかわからない」。別の言葉で言えば、それは主体を特定することを拒むような文体であり、まるで、誰かに発話されることを前提としていないようにすら思える。そのため、同じインタビューにおいて、余越が語る「ダンスが好きな人って、もともと“「リンチ(戯曲)」のような構造をした頭”を持っているんだと思います。ロジックから入らない、と言えばいいのかな」(同上)という戯曲への共感に対しては、立ち止まって考えなければならない。その文体に関する限り、舞台上で行われていた作業と、戯曲において行われている作業は、かなり異なったそれであるような気がしてならない。 前述のように、余越は「私」という主体を使ってこの上演を構成していった。しかし、「リンチ(戯曲)」の文体においては、その主体が曖昧で「誰の目線で語られているのかわからない」。だから、この作品はとても奇妙だし、唯一無二なのだ。なるほど、垣尾や小松がアラン、余越の個人史を語るシーンは、その主体をずらすことに貢献する。しかし、それは主体の移動であり、主体という概念そのものを揺さぶる働きではない。 いったい、なぜ余越は、「リンチ(戯曲)」を、曖昧な主体から明確な「私」へと変えていったのか? ここに「戯曲を上演するとはなにか?」という問いに対するヒントがあるような気がする。 戯曲を舞台上で上演する時、そこには必ず言葉を「引き受ける」主体が必要になる。俳優、ダンサー、演出家、あるいは物体など、誰か/何かが、ある空間においてその言葉を引き受けることによってはじめて舞台上演が生まれる。だから、余越は、その言葉を発話する主体として「私」を設定し、「私」が話し、「私」が踊る劇へと仕立てた。けれども、「リンチ(戯曲)」のように、その発話主体が曖昧な戯曲であれば、別の可能性も考えられるだろう。言葉を「引き受けるもの」とした場合、人と言葉の関係は「引き受ける/引き受けられる」という主客の固定した関係にとどまる。しかし、この「誰の目線で語られているのかわからない」ような言葉を発するなら、言葉と人との別の関係のとり方も想像することができるだろう。Chat GPTがあらゆる言語で、人間と変わらない言葉を生成し続けているのに象徴されるように、言葉と人との関係は時代によって大きく異なる。いま、言葉とわたしたちは、どのような関係を結ぶことができるのか? それを模索することが、「戯曲を上演する」ことの価値ではないか。 上演の終盤、「私が どうしているかわかりますか?」「私が どうして、いる、かわかりますか?」と、拡声器を通して「私」を語る余越の声はドラマティックで感動的ですらある。それは「リンチ(戯曲)」からは絶対に出てこない種類のものだ。余越は「リンチ(戯曲)」の不明確な文体を、「私」の明確さへと変換することで、「リンチ(戯曲)」観客と共有できる感動的な上演に仕立てた。 しかし、これはあくまでも初演であり「リンチ(戯曲)」という作品にとっては第一歩に過ぎない。 この先、この作品を巡ってどのような上演が生み出されるのか。多くの作り手が、この作品を上演し、言葉と人の可能性を更新するような上演が生まれることを願ってやまない。 2022.10.5 ステージナタリー:“ダイナミックかつスリリングな旅路”をたどる、余越保子演出「リンチ(戯曲)」開幕 https://natalie.mu/stage/news/500083 2022.10.5 ステージナタリー:余越保子・垣尾優らが身体でアプローチ、AAF戯曲賞受賞作「リンチ(戯曲)」 - ステージナタリー 特集・インタビュー https://natalie.mu/stage/pp/aaf08 2022.10.11 ステージナタリー:ダンスを軸に立ち上げる、AAF戯曲賞受賞作「リンチ(戯曲)」演出は余越保子 https://natalie.mu/stage/news/496417 2022.10.18 サカエ経済新聞:愛知県芸術劇場で「第20回AAF戯曲賞」受賞公演 4人のダンサーが戯曲に挑戦 https://sakae.keizai.biz/headline/3466/ 2022.3.30 ステージナタリー:唐津絵理と山本麦子が語る、“実験と出会いの場”としての愛知県芸術劇場「ミニセレ2022」 https://natalie.mu/stage/pp/minisele2022 〒461-8525名古屋市東区東桜一丁目13番2号TEL(052)971-5609 指定管理者: 公益財団法人 愛知県文化振興事業団 施設案内 大ホール コンサートホール 小ホール リハーサル室 自主事業 取り組み 愛知県芸術劇場のミッションとビジョン 愛知県芸術劇場支配人/芸術監督 公益財団法人愛知県文化振興事業団 レポート 賛助会員のご案内 メンバーズ 施設を借りる 交通アクセス よくあるご質問 サイトポリシー サイトマップ お問い合わせ Copyright(C) AICHI ARTS CENTER. 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