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中学校外国語新学習指導要領を読み解く総論 新しい学習指導要領のねらい 元文部科学省初等中等教育局主任教科書調査官・視学官小串 雅則 小串 雅則(おぐし まさのり)先生 元文部科学省初等中等教育局主任教科書調査官・視学官。1976 年より神奈川県立高等学校英語教諭を経て,1994 年より文部科学省(当時は文部省)初等中等教育局教科書調査官に就任。2002 年に同主任教科書調査官,2003 年には同視学官を併任し,2010 年の退官まで同職。 はじめに  学習指導要領は,これまでほぼ 10 年ごとの改訂を繰り返してきましたが,平成 10〜11 年改訂以来の 3 回の改訂では,「生きる力」という抽象度の高い理念を学習指導の目標としてどう具体化するかが課題であったように思われます。すなわち,平成 10〜11 年改訂では,自ら学び自ら考える力などの「生きる力」の育成が理念として提示され,続く平成 20 年の改訂では,「生きる力」をバランスよく育む観点から,育成すべき学力を①基礎的な知識及び技能,②思考力,判断力,表現力等,③主体的に学習に取り組む態度という 3 要素で示しました。そして今回の平成 29 年改訂では,各教科の目標及び内容を下図に示す 3 つに再整理しました。そのうえで,学習を通じて「何ができるようになるか」を意識した指導を行うことを求めています。つまり,抽象的な概念である「生きる力」の中身を到達目標という形で具体的に示すことで,学習指導の改善を実現しようとしているように思われます。 育成すべき資質・能力の三つの柱  今回の改訂では,小学校に教科としての「英語」が導入されました。また,「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」,「外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方」などのかなり難解な概念も示されています。今回の改訂を踏まえ,今後各学校では授業改善に向けての取り組みが進むと思われますが,我々教科書編集に係るものとしても,教材の面から先生方の授業改善をサポートできればと考えています。 学習指導要領改訂の概要  今回の学習指導要領改訂は大きな改訂で,それを適切に理解し授業改善に生かすにはかなりの作業が必要となるでしょう。そこで,ここでは総論として指導要領の構成を追いながら主な改訂点を確認してみることにします。 1.小学校への「外国語(英語)」の導入  中学校学習指導要領の改訂について述べる前に,小学校への外国語(英語)の導入について触れておかなくてはならないでしょう。今回の指導要領改訂で,小学校に教科としての外国語(英語)が導入されました。前回の改訂で小学校に「外国語活動」が導入されたことに続く外国語教育の充実策です。ただし,小学校英語が所期の成果を上げるには,①これまでの「外国語活動」の成果の総括,②入門期の英語学習の重点化と指導法の工夫,③小学校教員の指導力の開発,④小学校英語教材の開発とその創造的な活用などの課題が考えられます。これらの解決に加えて,中学校段階では小学校での英語学習の成果を円滑に引き継ぎ,学習指導に生かすことが新たな課題となります。 2.中学校外国語(英語)の学習指導要領改訂  さて,ここからは本論である中学校外国語(英語)の学習指導要領の改訂についてです。改訂された学習指導要領は,現行版に比べて,各項目についてより具体的で詳細な規定を行っています。以下,現行の学習指導要領と比較しながら改訂内容を見ることにします。 改訂版学習指導要領の構造(数字は見出しと対応) ❶教科「外国語」の目標:授業改善の方向性の明確化  現行の学習指導要領は,外国語の最終的な目標を「③コミュニケーション能力の基礎を養うこと」とし,その前段階として「①言語や文化に対する理解」,及び「②積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成」の目標を定めています。一方,改訂版では,目標を「簡単な情報や考えを理解したり表現したり伝え合ったりするコミュニケーションを図る資質・能力」の育成と規定し,この目標のもとに育成すべき具体的な資質・能力を(1)〜(3)として分析的に列挙しています。現行版の論理構成が帰納的,改訂版のそれが演繹的とも言えるでしょう。  「目標」の内容は,改訂版では「簡単な情報や考えを理解したり表現したり伝え合ったりする」と具体的に示されています。加えて,「外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,読むこと,話すこと,書くことの言語活動を通して」という規定を設け,指導法にも触れています。  以上,改訂版の指導要領は,「目標」を包括的に示しながら,指導法や目標を構成する 3 つの要素を分析的,具体的に示しているのが特色です。このような改訂には,学習指導の方向性をより明確に示すことで授業改善を進めようとするねらいがあると考えられます。 ❷目標:CAN-DO による学力の明確化  次に「英語」に関する諸規定のうち,まず目標についてです。現行版が,4 技能について目標を簡素に示しているのに対し,改訂版では,4 技能のうちの「話すこと」を[やり取り]と[発表]に分け,全体で 5 つの指導領域としたうえで,領域ごとに指導目標をア〜ウで示しました。その結果,「目標」の示し方は,現行版に比べてはるかに具体的で詳細(5 領域 15 項目)になっています。 改訂版の目標の示し方が学習指導に大きく影響しそうな点として,5 領域ごとに示されたア〜ウの目標の語尾が「できるようにする」で統一されていることがあげられます。端的に言えば,後章で述べる CAN-DO リストを前提に指導の目標を設定することを促しているのです。  また,目標を規定している表現にも注目しておく必要があります。目標では,「日常的な話題」,「社会的な話題」,「必要な情報」,「概要」,「要点」,「簡単な語句や文」などの表現が繰り返し用いられています。中学校段階で育成すべきコミュニケーション能力の性格をこのような語句の繰り返しから探ることができるでしょう。 ❸内容:言語活動の詳細な規定  「英語」の内容について,改訂版では内容を〔知識及び技能〕と〔思考力,判断力,表現力等〕に係るものとに再編成して,かなり大きな改訂をしています。  まず,〔知識及び技能〕では,「(1) 英語の特徴やきまりに関する事項」として,おおむねこれまでの「言語材料」にあたる事項を規定しています。他方,〔思考力,判断力,表現力等〕では,「(2) 情報を整理しながら考えなどを形成し,英語で表現したり,伝え合ったりする事項」と「(3) 言語活動及び言語の働きに関する事項」の 2 項目を設けています。  ここで特に注目すべきなのは〔思考力,判断力,表現力等〕に示されている言語活動に関連した規定「(3)‐①」です。現行版のものをはるかに超える詳細なものであり,実際の授業を構成する言語活動の内容を具体的に示すものです。今回の学習指導要領の主要な改訂の 1 つと言っても過言ではないでしょう。この内容については,具体的に示された英語の目標との関連で,どのような言語活動を通じてどのようなコミュニケーション能力を育成するのかということ,すなわち,「目標と言語活動の組み合わせ」についての検討を詳細に行うことが必要です。 ❹指導計画の作成と内容の取扱い:指導法への言及  「3 指導計画の作成と内容の取扱い」では,指導計画の作成における小中高の接続,指導における配慮事項,及び教材の 3 項目を扱っています。現行版を踏襲しつつ,さらに実際の指導法に踏み込んだ 17 項目にわたる詳細かつ具体的な規定となっている点が特徴です。 結び  今回の改訂を総括すると,抽象的・概括的な規定から具体的・個別的な規定へのシフトと言えます。目標や内容をより具体的に示すことで,指導要領が本来持っている教育内容の平準化の機能が強化されたとも言えます。 一般論として,指導要領の規定が抽象的・概括的であれば,授業内容を構想するうえでの自由度は高くなります。しかし,独自の授業計画の作成には教員の企画力や創造性が不可欠です。様々な可能性を探り,最大限の学習成果を上げるために,授業内容の最適化を図ることが大きな課題となります。このことに教員としての「やりがい」を感じる先生方も多くおられることでしょう。  他方,今回の改訂のように,目標や内容が具体的・個別的に示されれば,それに合わせて授業を企画することが可能になり,教員の側の負担は軽減されるでしょう。また,指導要領に準拠した検定教科書の存在が,「指導要領に準拠した授業」を行っているという「お墨付き」を与えるかもしれません。その一方で,指導要領が示す授業内容の枠組みに縛られすぎれば,教員が創造性を発揮する余地が狭められるのではないかという懸念もあるでしょう。どちらの方向に軸足を置いて改訂の実施に取り組むか,様々な英知を集めての検討が求められているのではないでしょうか。 ※この原稿は東書教育シリーズ『中学校外国語新学習指導要領を読み解く―6つの観点で考えるこれからの学び―』(東京書籍,2017)に掲載されたものです。 関連リンク 中学校外国語新学習指導要領を読み解く 【総論】新しい学習指導要領のねらい 【観点①:英語で授業】「やり取り」と「英語で授業」で深い学びを実現 【観点②:CAN-DO】CAN-DOリストによる目標と評価 —授業改善のために 【観点③:小中連携】目標の一貫性,指導内容の系統性,指導法の継続 【観点④:文,文構造及び文法事項】コミュニケーションにおける活用のための文法指導 【観点⑤:語彙】新学習指導要領における語彙指導の考え方 【観点⑥:デジタル】新教育課程下におけるデジタル教科書の位置付けと活用 【東書Eネット】中学校英語・中学校外国語 新学習指導要領を読み解く- 6 つの観点で考えるこれからの学び-

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