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本文へ   産総研マガジンは、企業、大学、研究機関などの皆さまと産総研をつなぎ、 時代を切り拓く先端情報を紹介するコミュニケーション・マガジンです。 記事検索 産総研マガジンとは 産総研の概要/研究データ/ 研究ユニットの紹介 とは 記事 産総研TOP 産総研マガジン > LINK for Society 産総研マガジン > LINK for Society > 単位の基準は原器から物理定数の時代へ LINK for Society 単位の基準は原器から物理定数の時代へ 2018/11/30 単位の基準は原器から物理定数の時代へ国際単位系の定義改定に産総研が総合力で貢献 2018年11月、国際単位系(SI)*1の7つの基本単位のうち、4つの単位質量(キログラム:kg)、温度(ケルビン:K)、電流(アンペア:A)、物質量(モル:mol)の定義が改定される。このうち質量の定義改定に、産総研の計量標準総合センター(NMIJ)が直接的な貢献をした。単位の定義改定とはどのようなもので、日常生活や未来の社会にどのような影響があるのだろう。国際度量衡委員を務めるNMIJセンター長と、NMIJでそれぞれの定義改定にかかわるリーダーたちによる座談会を開催した。 国際単位系(SI)の定義改定 国際単位系の成り立ちと産総研の役割 臼田2018年11月、国際単位系(SI)の7つの基本単位のうち、質量、温度、電流、物質量の4つの単位の定義が改定され、より高精度な定義が実現する見込みです。そして、私たち産総研の計量標準総合センター(NMIJ)もこの改定に大きな貢献をしています。そこで今回は、この4つの単位の日本の計量標準を支える皆さんにお話をいただこうと思っていますが、まずは私から基本的なことをまとめておきます。  今では当たり前の話ですが、単位は、ものづくりや商取引などあらゆる産業の根幹です。したがって、国際社会においては統一された単位を共有することが非常に重要となります。18世紀後半に、フランスでこの「単位を統一する」という発想が生まれ、それが各国に広がって1875年にメートル条約が締結されました。同年、国際単位系を維持管理する中立的な国際機関「国際度量衡局(BIPM)」も発足し、ここが単位の参照基準となるメートル原器やキログラム原器を管理することになりました。当時はこの原器が単位の唯一絶対の基準でしたが、計測技術の向上に伴い、次第に「原器」という器物を単位の基準とすることに限界が訪れ、長さの基準は1960年代には光の波長に、後には光の速さという物理定数*2を用いたものに変わりました。そして今年、いよいよ質量も、原器から物理定数を用いた基準に変わることになりました。  日本の計測技術の研究開発と計量標準の整備・維持・供給というミッションをもつNMIJは、1903年に前身の中央度量衡検定所が開所して以来、計量標準を支えるという役割に加え、これら国際的な単位の基準づくりにも積極的にかかわってきました。そして今回は、ついに質量の定義改定に大きな役割を果たすことができました。この辺は藤井さんに話をしてもらいましょう。 質量単位の定義改定に貢献 藤井私が質量の定義改定を意識したのは1983年、まだ産総研がなく、NMIJが計量研究所として独立していた時代のことです。就職の面接に来た私は、X線を使ってシリコン結晶の原子間距離を正確に測っているという話を聞きました。この時点でNMIJはすでにキログラムの定義改定に向けた研究を開始していて、そのためにアボガドロ定数*3の測定に着手していました。入所後は水の密度の絶対測定などを担当しましたが、1988年から高純度のシリコン結晶球の密度測定を開始し、私もアボガドロ定数の測定を始め、それ以来質量の単位の定義を変えるための研究を続けています。 臼田SIの定義の中で、現在も原器が残っているのは質量のキログラムだけですね。 藤井その理由は白金イリジウム合金製の原器の安定性が非常に高く(1億分の5)、20世紀の技術革新をもってしても、その安定性を超えられなかったからです。基礎物理定数に基づいてキログラムを再定義するためには、アボガドロ定数を高い精度で決定する必要があります。このとき必要なのが個々の原子が理想的に配置されている「完全結晶」です。このような結晶の作製に適している物質がシリコンでした。しかし、自然界で得られるシリコンから作製した結晶には限界があり、得られる測定精度は1億分の20程度だったので、定義改定には十分ではありませんでした。その時の気持ちを正直に言うと、自分が生きている間の改定は無理だと思っていました。1889年以来変わることのなかったキログラムの定義を改定するということはメトロロジー(metrology:計量学)における永年の「夢」だと考えられていたのです。 臼田それがいつ変わったのでしょうか? 藤井状況が変わったのは2004年です。自然界のシリコンには複数の同位体が混ざっているため、そのままではシリコン原子1個当たりの質量を正確に決めることができないのです。そのため、シリコン28のみを濃縮して高純度の結晶をつくる国際プロジェクトが発足しました。巨費を要する困難な研究でしたが、同位体濃縮が実現した結果、1 kgのシリコン球に含まれる原子の数を正確に数えることによって、原器の安定性を超える精度でのアボガドロ定数の測定が実現しました。同じ頃、プランク定数*4を正確に計測する研究も海外で進み、最近、両者の結果が整合するようになって、いよいよ定義の改定に至ったわけです。この国際プロジェクトをドイツやイタリアなど海外の研究機関と協力しながら進めることによって、日本は初めて、直接的にSIの定義改定に貢献できたのです。夢の実現と言っても過言ではありません。 キログラム原器を4K映像でご覧いただけます。 物質量測定もグローバルに共通化される時代 臼田高津さんにはちょっと難しい物質量の話をお願いします。 高津「モル」は、物質内の原子や分子の個数に関連した物質量の単位です。化学の授業で最初に学習するものなのですが、日常生活で耳にすることはまずありません。このモルの定義は、現在は質量にリンクしているため、質量の定義改定に伴って、こちらもアボガドロ定数を用いたものに変わります。  私自身は産総研の前身である工業技術院の化学技術研究所で生化学標準物質の開発という研究で仕事をスタートさせましたが、2001年に産総研が発足し、物質量の標準もNMIJに組み込まれたことがターニングポイントとなりました。メートル条約のもとで物質量に関する諮問委員会ができ、生体試料や環境試料中の成分分析に関する国際比較実験に参加したとき、結果が予想よりはるかによく一致していたことに驚き、化学分析も計量的スタンスで論じられることを再認識しました。 臼田はかる基準を必要とするコミュニティの大きさによって、その重要性は変わってきます。長さは、あらゆるところで使われるので、昔から単位の高精度化への要請が高く、以前から研究の国際分業が進んでいます。物質量についても、元素や化合物の量や濃度が生活や社会に大きな影響をもつようになったことから、精度への認識が高まり、海外との同等性が求められるようになりました。 高津単位の定義の改定は、社会からの要請があっても、それを実現する技術がなくてはできません。物質量についても、計量技術の進展が改定につながった重要な要素といえます。 温度の定義は“水の三重点”から物理定数へ 臼田温度に関しては山田さんからお願いします。 山田温度の単位ケルビンは、現在は「水の三重点」*5により定義されていますが、今後はボルツマン定数*6に基づいた定義に変わります。キログラム原器から物理定数に基づいた定義に変わる質量と同様、温度の定義も水という物質を離れ、物理法則を使うようになるわけです。  とはいえ、定義が変わっても私たちの生活は変わりません。私たちが日常的に使っている「温度」はケルビンの定義に基づいていないためです。ケルビンに基づいて温度をはかるには大規模な設備が必要で、日常的にはかることはできないのです。しかし、今回の改定は、将来的にケルビンの定義に基づいた高精度な温度測定を進めていくための1ステップとして位置付けられるでしょう。 臼田山田さんが今取り組んでいることはどんなことですか? 山田私は以前、民間企業で鉄鋼製造プロセスの研究のために温度計測をしていましたが、温度には“質量をはかるときの分銅” にあたる基準がなく、再現性の難しさを感じていました。そこで温度の基準として金属の凝固温度などを用いていましたが、1000℃以上の高温の場合、指標がなかったのです。入所後はその問題を解決しようと、高温域の温度定点の開発に取り組んできました。 臼田今後は山田さんの手がける高温域の温度標準の世界が、この分野のリーディングエッジになるでしょうね。 山田入所当時は、ケルビンの定義の改定についてまだ議論も始まっていませんでした。今回の温度の単位の定義改定には惜しいところで間に合いませんでしたが、これからの高温域の標準設定では私たちの技術が生かせると期待しています。 電気標準もSIに仲間入り 金子私のバックグラウンドおよび現在につながる興味は固体中の電子の動きや相互作用です。さらに私の前の職場には、量子ホール効果でノーベル賞を受賞したラフリン先生がいたことから、量子ホール効果の物理とその応用には特に関心がありました。そして、その量子ホール効果をもっとも産業に近いところで活用しているのが計量標準の分野で、とても興味深いと思いました。  そのようないきさつから産総研に入所し、量子エレクトロニクスの研究をする一方で、電気関係量の標準の維持・管理にも責任をもって取り組んできました。校正証明書を初めて書くとき、緊張で手が震えたのを覚えています。  今回、いよいよ電流の単位、つまりアンペアの定義も改定されますが、これは長らく心待ちにしてきたものです。というのは、現行の電気標準は直接的にはSIに拠っていないからです。SIに定義づけられていたこれまでの電流の単位は質量と長さに紐づけられた複雑なものですが、実際の電気の世界ではプランク定数と電気素量*7の組み合わせを用いたより高精度の標準ができていたのです。今回、プランク定数と電気素量が定義されることによって、電気もしっかりとSIの仲間入りができるようになるわけです。 臼田プランク定数の決定が、電気の世界でもブレークスルーになったわけですね。 金子改定後には1秒間に流れる電気素量の数でアンペアが決まるというシンプルな定義になります。電子を一つ一つ移送するのは量子エレクトロニクスの基本回路で、単一電子トランジスタあるいは単一電子移送素子などと呼ばれていますが、私はその研究に取り組んできました。今後はその技術を利用して新しい標準に貢献できると考えています。 総合力がものをいう単位・標準の世界 山田温度に関しては、高温域でケルビンの新しい定義に基づく測定が始まれば、いよいよNMIJが温度標準の最前線に立てるでしょう。ここに至るまで20年です。計量標準はやはり手強いですね。 藤井質量計測の技術にも多様な分野の技術が必要で、今回、定義改定ができた背景には、高津さんのところでシリコンのモル質量や球表面の正確な測定が行えるようになったことも関係しています。私たちがプランク定数の決定につながる成果を出せたのは、NMIJの総合力があってこそだといえるでしょう。 金子総合力ということでいえば、質量の技術は量子エレクトロニクスにも関わっています。例えばシリコン28を使うと高い性能の量子ビット*8を作ることができるため、今後量子コンピュータ技術が発展すればシリコン28が安価になる可能性も出てきます。「高機能」の材料が安価になれば産業応用の範囲が広がり、他分野も発展していくでしょう。標準は総合力なので、そのような他分野の発展も期待できます。 臼田単位の限界を突破する研究は、その時々の科学の限界にも関わります。そのため、単位に関わる技術はさまざまな派生効果をもたらすわけですね。 藤井質量の分野で標準が重視されるようになったのは、 2000年頃から適合性評価を対象とした相互承認(MRA)がスタートし、各国がきちんとした標準をもつ必要性が出てきたからです。欧州ではメトロロジーが文化でもあり、どの国も科学的に磨き上げられた標準をもっています。その中で日本の標準を認めてもらうのは大変でした。 臼田今回、日本が定義の改定に貢献できたことには大きな意味がありますね。 藤井日本で測定した基礎物理定数の値が、SIの定義改定というかたちで欧米にも認められるようになった、ということには歴史的にも大きな意義があると思います。私たちは新しい定義をつくると同時に、それに基づく産業応用を進める立場でもあります。質量がプランク定数に基づいたものになると、これまで不可能だった微小な質量の計測が可能になります。そこに金子さんが取り組む技術を用いれば、究極の微小質量も測定できるようになり、将来的には光技術とも密接に結びついた微小質量の基準がつくれるようになるでしょう。そういった技術ができれば、新薬の開発段階での希少かつ高価なサンプルの質量測定、3次元デバイスや薄膜のナノグラムオーダーでの評価、インクジェット1粒の質量の均一化による「ものづくり」のさらなる高度化も可能になり、産業への貢献も期待できると思います。 標準からさまざまな技術が生まれる 臼田単位に関わる技術は、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー等のポテンシャルを高めていきます。ところで、私たちが一次標準*9を維持し、定義改定のフロントランナーでいる価値は、どのような点にあるでしょうか。 金子現在、産総研では量子ホール素子もジョセフソン素子も、単一電子移送素子もすべて自製できます。実は、これらすべてを1つの研究所でつくれるのは産総研も含め世界で2〜3の研究所しかありません。これにより海外からの共同研究の依頼が大きく増え、世界的なハブになりつつある実感があります。 臼田原器が世界で唯一の標準だった時代は終わり、技術力があれば誰でも定義をつくれるようになりましたが、高い技術力をもつことで国際的な存在感は高まるわけです。それは日本が計量標準を維持する上で大きな意義があるといえます。 高津単位のように不変と思われるものさえ、技術が進むと、より高精度化し、変わっていきます。その時、NMIJには多様な計測の専門家がいて、研究成果を多角的に検証できるので、高精度な標準をつくるときの強みになります。これを活かして、これからも新しい技術、必要とされる標準をつくり、社会に貢献していきたいですね。 *1: メートル法の後継として国際的に定めた単位系のこと。基本単位は7つで文中のほか長さ(メートル:m)、時間(秒:s)、光度(カンデラ:cd)がある。[参照元に戻る] *2: 自然現象を記述するための物理学の法則や方程式に不可欠な定数。[参照元に戻る] *3: 今回、SIが改定される前の定義は「0.012 kg の12Cに含まれる原子の数」。1モルの物質に含まれる原子や分子などの数のこと。これまでの定義ではその数は明示されていないが、新しい定義ではモルはアボガドロ定数によって定義される。[参照元に戻る] *4: プランク定数と光子の振動数との積は、光のエネルギーの最小単位を表す。アボガドロ定数とプランク定数との間には厳密な関係があるので、原子の数を測る技術を使っても、プランク定数から質量の 基準をつくることができる。[参照元に戻る] *5: 氷、水、水蒸気が共存し熱平衡にある状態。温度0.01 ℃、圧力611.7 Paの点をいう。[参照元に戻る] *6: 気体の種類に関わりなく定まる比例定数である「気体定数」をアボガドロ数で割ったもの。分子の運動エネルギーと絶対温度との関係を示す尺度となっている。[参照元に戻る] *7: 電子1個または陽子1個のもつ電荷(電気量)の絶対値をいう。[参照元に戻る] *8: 従来のコンピュータで用いられるビットが「0か1か」の状態をとるのに対し、量子力学的重ね合わせにより「0でもあり1でもある」状態になるビット。[参照元に戻る] *9: 計測のトレーサビリティの起点となる最も上位の標準。[参照元に戻る] 計量標準総合センター 総合センター長 国際度量衡委員 臼田 孝 Usuda Takashi 計量標準総合センター 工学計測標準研究部門 首席研究員 藤井 賢一 Fujii Kenichi 計量標準総合センター 物質計測標準研究部門 研究部門長 高津 章子 Takatsu Akiko 計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 首席研究員 山田 善郎 Yamada Yoshiro 計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 首席研究員 金子 晋久 Kaneko Nobu-Hisa --> 産総研 計量標準総合センター 〒305-8563 茨城県つくば市梅園1-1-1 nmij-info-ml*aist.go.jp (*を@に変更して送信してください) https://unit.aist.go.jp/nmij/ 関連記事 第12回 キログラムの定義が変わる!究極の精密測定が科学の「基準」をつくる 科学者50年の夢。結実へ この記事へのリアクション もっと詳しく   初めて知った   興味がある   この記事をシェア 掲載記事・産総研との連携・紹介技術・研究成果などにご興味をお持ちの方へ 産総研マガジンでご紹介している事例や成果、トピックスは、産総研で行われている研究や連携成果の一部です。 掲載記事に関するお問い合わせのほか、産総研の研究内容・技術サポート・連携・コラボレーションなどに興味をお持ちの方は、 お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。 産総研マガジンに関するお問い合わせはこちら 編集部が選んだおすすめ記事 話題の〇〇を解説 量子コンピュータとは? 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