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増加する教科書の語彙数にどう対応するか? 弘前大学教育学部 講師佐藤 剛 佐藤 剛(さとう つよし)先生 弘前大学教育学部講師。筑波大学大学院教育研究科教科教育専攻英語教育コース。青森県内の公立中学校で教諭として勤務し,現在は母校でもある地元の弘前大学で後進の育成にあたっている。専門は英語教育学,主に小中学生の語彙サイズ発達の測定とそれに基づいた語彙指導の在り方,教材作成。  平成29年告示の学習指導要領の下では,指導する語彙が,小学校で600語から700語程度,中学校で1,600語から1,800語程度,高等学校で1,800語から2,500語程度と大きく増加します。私が小学校の検定教科書を分析した結果によると,実際に教科書で扱われている語は,各社で差はあるもの1,300語程度であり,600語から700語を大きく超えていることが分かりました。小学校では週2時間の授業で,このような数の語彙をどのように指導すればよいのかと,よく研究会などで質問を受けます。さらに,これを受けて来年度から使用される中学校の教科書の語彙も同様に大きく増加することが予想されます。今でさえ,毎レッスン次から次へと導入される単語の指導に苦労しているのに,どうすればよいのかというのが正直なところではないでしょうか?  このような状況を乗り越えるために,以下の2つの提案をしたいと思います。キーワードは「意図的学習」と「学び方の指導」です。 意図的な学習=コミュニケーションの中だけでの語彙学習の限界  語彙学習には単語を覚えることを目的として行う意図的学習と,英文を聞いたり読んだりする中で自然に単語を習得する付随的学習の2種類が存在します。現在はコミュニケーションを重視した指導が主流であることから,活動の中で自然に語彙を学習させたり文脈から意味を推測させるというような付随的学習の方が望ましいと考えられているように感じます。しかし,付随的語彙学習には年間500,000語という非常に多くのインプットが必要な上に,学習者が理解できる適切なレベルの教材の用意が必要な点などから,授業以外で英語のインプットが期待できない日本のようなEFL環境においては限界があるとされています。学習者が文脈から間違った意味を推測してしまう危険性もあります。さらに,上記のように新しい学習指導要領の下で指導する語彙数が増えている状況を鑑みても,すべての語彙を授業内の活動で使わせるだけで,付随的に定着させようというのは非常に難しいと考えざるを得ません。  一方,単語の意味を覚えたりスペルを練習したりする意図的学習では,短期間でたくさんの単語を学習することが可能です。辞書の活用や以下に示す単語カードを使用した学習など,やはり単語そのものを身につけるための勉強は欠かすことができないのではないでしょうか。ただ,言うまでもなく意図的学習だけでも不十分であり,意図的学習で覚えた単語が使われている英文を読んで内容を理解する学習や,それらを話したり書いてみたり,生徒がアウトプットする学習が必要です。語彙研究においても,意図的学習と付随的学習は互いに補完し合う関係であるとするのが一般的です。 学び方の指導  次のキーワードは「学び方」を生徒に身につけさせることです。毎レッスン登場する増加した指導語彙のすべてを授業内に,教師が導入し,生徒に練習させ,評価しようと考えるのは現実的ではありません。新しい学習指導要領にも「主体的に学習に取り組む態度」とあるように,工夫しながら自己の学習をコントロールすることができる生徒を育成する指導がますます求められます。単語学習は,その一歩目としてはもってこいではないでしょうか。「英文を上手に書くための方法を家で工夫してやってみなさい」といきなり生徒に求めるのは,ややハードルが高いかもしれませんが,「英単語を効率的に覚える勉強方法を工夫してやってごらん」であれば,できそうかな?がんばってみようかな?と思う生徒も多いのではないかと思います。  とはいえ生徒に一から自分で考えさせるのも無理があります。意図的語彙学習の方法の一案としてword cardを使った学習方法を紹介します。 word card学習法  語彙の研究者であるPaul Nationは,様々ある意図的学習の中で,これまでの研究結果に最もかなった効率的な方法は,単語カードを利用した学習であるとしています。単語カードというと,私自身も20年以上前,受験勉強として通学のためのバスの中でやっていた学習方法です。同じような経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか?語彙について様々な研究をした上で,さらにICTなどを使った,多様な学習方法が可能となった現在において,それでもPaul Nationが提案する方法が単語カードというのは,個人的には非常に含蓄に富むものだと感じます。ただ,その効果を最大限に課すためには,以下のようなポイントがあります。 STEP1: 普段バッグやポケットに入れて持って運べるように,小さいサイズのカード(4cm×2cmくらい)を用意します。レッスンごと(自分が無理なく覚えられる枚数ごと)にまとめたセットを用意します。それぞれを輪ゴムでまとめます。よくあるリングでまとめないことが重要です! STEP2: 覚えたい単語のスペルを片面に,日本語訳を反対の面に書きます。当たり前ですが,これが大事です。単語帳やノートのように,英語と日本語が同じ面にあって,同時に目に入る状況では,単語はなかなか覚えられないからです。 STEP3: まずは,英語のスペルを見て,意味を言えるかどうかチェックします。意味を思い出せなければ,裏を見て意味を確認します。 STEP4: 意味をスムーズに言えた場合は,束の最後にカードを移します。うまく思い出せなかったり間違った場合は,束の真ん中あたりに差し込みます。カードをまとめるのにリングを使わないのはこのためです。 STEP5: STEP1~4を何度か繰り返します。その後30分から1時間程度,間隔をあけて,繰り返してみます。 STEP6: 次に,繰り返す間隔を少しずつ増加させます。30分後→1日の終わり→次の日→2日後→1週間後・・・ STEP7: どうしても覚えられない単語は,次の束に移して,できるまで練習を繰り返します。 STEP8: スペルを見て意味が言えるようになったら,ひっくり返して,日本語を見て英語を言えるようにSTEP1~4の方法で練習します。  この方法は,ちょっとしたことではありますが,なるほどなと感じる細かいコツがあり,それは分散学習(spaced learning)など,ちゃんと語彙学習の原理原則に基づいています。単語という英語学習の世界では比較的細かい分野の学習においてこそ,理論に基づいた学習が大事なんだと教えてくれているようです。  この単語カードの学習が,増加した語彙をどう扱うか,そして,今後ますます重要となる「主体的に取り組む態度」を育成するひとつのヒントとなるのではないでしょうか。 〈参考文献〉 Nation, I. S. P. (2008). Teaching vocabulary: Strategies and techniques. Boston, MA: Heinle & Heinle. Nation, I. S. P. (2001). Learning vocabulary in another language. Cambridge University Press. Nation, I. S. P. (2013). What should every ESL teacher know? Compass Publishing. 関連リンク 中学校外国語新学習指導要領を読み解く 【総論】 【観点①:】 【観点②:】 【観点③:】 【観点④:】 【観点⑤:】 【観点⑥:】 【東書Eネット】 -->

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